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5月, 2018の投稿を表示しています

リガクの古いX線回折測定装置で取得したデータをOlex2で解析するときに

RAPIDを使っている、というマイノリティ(?)向けの記事です。 先日、なんとかinsを作る手順をしめしましたが、もうちょっと楽にやれます。 いろいろと問題があって苦労したので、情報共有。 まず、RAPID-AUTOを最新版にしましょう。 FS-Scale後に、Olex2対応のファイルが入った [Structure] という名前のフォルダが生成されるようになります。 中身は  shelx.hkl、shelx.p4p です。 回折装置からはshelx.hkl、shelx.p4pと、texray.inf の3種を持ち帰りましょう。測定温度はメモ。 Olex2の File→Open から、目的のshelx.hklを選択すれば、処理が始まります。 はじめに、空間群などの決定を行います。この操作で、XXX_trans.hkl、XXX_trans.ins が生成します。 あとは、どこぞのマニュアル通りです。 解析し終わって、もうひと難関。 最後にCIFを作るとき、反射角の情報などが自動ではいりません。(CrysAlisProであれば、自動で入る!) 以下の内容をやっていないと、CIF Checkでひっかかるぞ。 Olexのインターフェイスで以下を打ち込みましょう。 Abs Type: 外形補正をしてなければ [multi-scan] を選択 Abs Details: [ABSCOR (Rigaku, 1995)] と手打ち。 Abs T max: と、Abs T min:  おなじみ、texray.inf ファイルを開き、ABSMIN,ABSMAXの後ろの数字を打ち込んで下さい。 Marge Cif へすすむとCifが出てきます。ここにも足りてない情報があるのでtexrayから補完してあげましょう。 _cell_measurement_reflns_used:  CELNUM の値を打ち込む _cell_measurement_theta_max:  CELMAX の値を打ち込む _cell_measurement_theta_min  :  CELMIN の値を打ち込む 測定温度も空欄になってたかな?記入しときましょう! 現場からは以上です!

DFTの分散力補正

DFT計算は、簡便に"ある程度"正しい分子の電子状態を見積もることができるので、私のような末端計算化学ユーザーに頻用される計算手法です。 そのなかでもよく使われるのが、B3LYPを汎関数とするものでしょう。 しかし弱点も多くあり、その中のひとつが長距離間ではたらく相互作用を見積もれないというものです。そもそも、それを記述するような項が汎関数に含まれていない、ということだそうです。( ここの一ページ目が分かりやすい ) π-π相互作用なんかが大事な場合は当然このままでは困ったことになりますし、水素結合について見積もる場合にも分散力は大事です。 これを解決する手段として、長距離補正項をもたせた汎関数というのが開発されてきました。。 その中の1つ、分散力補正項を汎関数に入れたいときの記述方法を、書き記しておきます。 EmpiricalDispersion=XXX このようなキーワードをインプットファイルに記入します。 XXXには、FD、GD3、GD3BJ が入ります。 それぞれ Petersson-Frisch 分散力、Grimme の D3 分散力、および、D3BJ 分散力モデルが使えます。 下に、直近の計算で使ったインプットの例を載せておきます。 # opt=tight freq=raman upbepbe/def2TZVP EmpiricalDispersion=GD3BJ geom=connectivity Int=ultrafine なかなか見つからなかったのですが、ヒューリンクスのGaussian16の販売促進ページに新しい機能として紹介されていましたが、ウチの09でも、GD3BJは利用可能でした。(他、ためしてません!) 共同研究をしている理論屋さんは、 計算コストがあんまりかからないのに 、結果が格段によくなるからグリンメさん、半端ないっておっしゃってました。 僕のやってる系は、二分子が会合したような構造なので、これを入れたほうが良いようでした。フェニル基がぶつかったりしている系を触っているかたは是非、いれときましょう! 追記、以下のページでも説明されて います。G09でも、一般的な汎関数についてはサポートされているようです。 コンフレックス上に上げられているマニュアル http:/