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分光器用の棚

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分光器の周辺は、得てしてゴチャゴチャしがちです。 スペースの無い、日本のラボでは、物を垂直方向にうまく配置していくしかありません。 そこで、人生で初めてアングルで棚を自作するということをしてみました。 金属の板では少し味気が無いので、集積材を天板として、丁度良いサイズの棚を自作しました。 全部で大体、一万円ですみました。 黒のアングルがどうしても良かったのですが、なかなかモノタロウには無い。。 amazonのほうが、安くて使い勝手の良いサイズのものがたくさんありました。 アングルカッターを持ってい無いので、初めからいろいろサイズの選択肢があるamazonはありがたい!大学の工作センターに行けば切ってくれるのかな?まあ、はじめから丁度よいサイズのものを買うに越したことは無いでしょう。 カラーアングル30型1200mmブラック カラーアングル30型450mmブラック カラーボルトナット 6×12mm 20組入 ブラック (もう少し短いナットでも良かったかも。リベット部分を外にすると、ナットが柱の内側に来る。角では、これが真ん中に集まるので、回して締める際にスペースがなくなる。) コーナープレート 4枚入 ブラック パイン集積材 発注の後に気づきましたが、集積材は発送前にカットしてもらうことも可能だそうです。 カットして貰えば、事前の設計通りになったのですが。まあ次回の改善点です。 学生さんに手伝ってもらいましたが、自分で実験環境を良くする取り組みを行う意識づけになればな、というところです。

単結晶X線構造解析用ワークステーションの立ち上げ

ShelxによるX線構造の精密化は、同業者の間で非常に評判が良く、マルチコアのコンピューターをうまく使えるように設計されているという話を聞き、新しくワークステーションを立ち上げました。 いろいろ見ましたが、 ドスパラ でcorei5の乗っかったPCを購入。 マグネイトIM  (56,800+税) リガクのCrystalStructureをインストール。ユーザー登録もしていなかったので、ついでにしておきました。 立ち上げた時点では、ユーザー登録はされていません。 「administrator」としてログインしましょう。パスワードは設定されていません。空白です。 CrystalStructure(4.2)には、SIRやShelxが最初は入っていないので、プログラムをダウンロードしてCrystalStructureのファイル内の、適切な位置にフォルダを作成し、そこにプログラムファイルを置いてやる必要があります。 旧バージョンとはファイル名が変わりますので少し手こずりましたが、リガクのHPに丁寧な マニュアル がありました。 それによると、¥Rigaku¥CrystalStructureのフォルダ内に「extras」というフォルダを作成(大文字、小文字も多分認識している?)。 そこにShelxのインストーラで出てきたファイルをすべて突っ込めば完了です。 始め、CrystalStructureの動きがモッサリしていたのですが、互換モードでWindows 8としてプログラムを走らせると、少し早くなりました。(アイコンの右クリックから、プロパティ->互換性タブから設定できます。) Shelxの使い勝手ですが、Rが落ちる落ちる! 大体の結晶はサクッと解けるのですが、ディスオーダがある場合の精密化がShelxは得意なのが特徴。 今、大場先生、植草先生の書かれた 結晶構造精密化SHELXLの使い方 を読みながら、Shelx独特の位置、熱異方性因子の束縛、抑制条件の打ち込み方を勉強しているところです。

研究室の情報通信環境の整備

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USBで、測定装置から自分のパソコンにデータを運ぶのが面倒くさい! 学生の時から、ずっと思ってました。 測定室と居室を行ったり来たりするのが嫌なんですよね。 また、装置マニュアルや器具の洗浄方法といった研究室の共有情報についても、簡便にみなさんがアクセスできる状態にあることが望ましい。 そこでこの度、測定装置とストレージ(NAS)を接続し、取ったデータを自動的にNASに同期することにしました。 測定装置はWi-Fi対応ではない古いもので、有線LANもつながっていなかったので、USBポートに入れるだけで無線でイントラにつなぐことにしました。 いずれもバッファローの装置です(回し者ではありません)。 最初は16Tくらいで行こうと思っていましたが、ほかの先生に相談したところ、年々ハードディスクの容量が上がるにつれて、コストパフォーマンスのよい容量が変わるとのアドバイスをいただきました。 確かに、16Tあるいは4Tモデルより、8Tモデルの方が容量あたりの価格が安い(2016/12現在)。 HDDの故障率は、3年目から高くなるということで、3年後あたりに容量が大きいものと買い換えたらいいや、ということで8Tモデルにしました。 普通のハードディスクと同じようにデータを記録するRAID0と、二重に記録することでハードディスクの故障に備えるRAID1(使える容量は半分の4Tに)モードのどちらにするか迷いましたが、生データは測定装置にあるのでRAID0にしました。 バッファローのNAS 8TB BUFFALO リンクステーション スマホ・タブレットで使える ネットワークHDD(NAS) 高速モデル データを守るRAID1搭載 8TB LS420D0802C バッファローの無線LAN BUFFALO エアーステーション 11n/g/b 150Mbps USB2.0用 無線LAN子機 ソフトウェアルーター機能付 エコパッケージ WLI-UC-GNME 無線LANの設定は、比較的あたらしいパソコンは簡単でしたが、古いものは少し手こずりました。 NASの方は、最初接続がなかなか設定がうまくいきませんでしたが、説明書にある通り、Web設定(NASNavigator2 からか、NASのIPアドレスをサファリに打ち込む)に行き、詳細設

ポリエチレンフラノエートとはなんぞや?

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これからはぺふ「ペフボトル」 東洋紡、「ペット」を進化 (朝日新聞 新田哲史2016年9月7日10時15分) という見出しの朝日新聞の記事。 ポリエチレンテレフタラートの代替材料として、ポリエチレンフラノエート (PEF: polyethylenefuranoate) というのが新しいポリマーが商用化したとのこと。なんぞや、ということで調べてみると、ポリエチレングリコールと、2,5-ジフランカルボン酸の重合体とのこと。 従来のPETと比べ、食品の劣化の原因となる酸素のバリア能力が10倍程度高いそうだ。 もう一つの重要な点として、100%バイオ由来の原料で、このポリマーは合成できるということだ。 エチレングリコールはバイオマスの発酵により得られたエタノールを脱水してエチレンとしたのち、ジオール化することにより合成できる。 もう一つの原料の2,5-ジフランカルボン酸は、フルクトースの脱水(THF環の合成)、酸化により合成できる。 石油の枯渇が叫ばれる中で、代替となる炭素源としてバイオマスに光が当たって久しいですが、価格の面でなかなか石油原料にはかなわない。そのため、バイオ由来の材料は従来品の性能を超えていたり、強い売りがないとなかなか戦えない。 このPEFは、PETより高い酸素バリア能をもつということで、素晴らしい成果だと思います。価格はどの程度になるんでしょうか。 バイオマスに関しては、下記 urlに、非常によくまとまっていました。   バイオマス化学 “「石油化学」から「天然資源化学」へ”続編

ゼオライト上でメタンを酸化する活性種はどんな化学種?

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Stanford, ソロモン先生の新作がNatureに。 The active site of low-temperature methane hydroxylation in iron-containing zeolites Nature 2016, 536, 317. http://www.nature.com/nature/journal/v536/n7616/pdf/nature19059.pdf 解説記事 http://www.nature.com/nature/journal/v536/n7616/pdf/536280a.pdf メタンは炭素と水素からなる、最も単純な有機化合物である。 近年、北米大陸のシェールガス開発が、世界の資源の流れ、お金の流れを変えているが、シェールガスの主成分がメタンである。 そのまま燃料として使えば良いのだが、ガスなので貯蔵や運搬のコストがかかることから、簡便に液化する方法として、メタノールへの変換が注目されている。 しかし、メタンは全く官能基を持たないがゆえC–H結合は極性をもたないため、極性反応が難しい。かといってC–H結合を均一開裂させようにも、メタンのC–H結合は高い結合乖離エネルギー(104 kcal mol-1)を持つため極めて安定である。 では、熱をかけて活性化エネルギーを稼いでやろうとすればどうだろう。メタンを酸化して生成するメタノールは、メタンより高い反応性を有することから、メタノールの酸化がメタンの酸化に優先して進行してしまう。この酸化反応の行き着く先は二酸化炭素であり、当然二酸化炭素になってしまえばエネルギーとしては使えないのである。s このジレンマを超えた効率的な酸化反応系を構築することは、触媒化学のチャレンジであるとされている(C&E News, 1993, 71 (22), 23−27.)。 この難しい反応をこなすアプローチの一つとして、ゼオライト上に担持された遷移金属を触媒とする手法は精力的に研究されている。 しかしこれまで、ゼオライト触媒中の活性点が、どのような構造を取っているかについては長年大きな議論があり、はっきりしないことが多かった。触媒表面のリアルタイム解析(operando/オペランド [operationのラテン語] 解析)は、触媒化学領域